ちょっとひといき
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pen 仕事のお供ボールペン pen

wakuL1 wakuC1 waku_R1
特に気にも留めず使われているボールペン
   毎日使う人ほど「こだわり」が強いボールペン
  役所や銀行の窓口には必ずあるボールペン
書くという作業の中では鉛筆やシャープペンシルと共に最もポピュラーな道具ですが、消せないこと、改ざんできないことで「公用」ではボールペンが日常的に使われています。
簡単そうに見えるボールペンですが、その歴史は意外と浅く第二次大戦後から普及し始めたようです。
実用は戦後ですがアイデアは19世紀後半と言われています。発明から実用までに半世紀以上かかった理由には3つあり、これは現在も改良が続けられています。
  その3つとは
  1:高い精度を要するペン先のボール加工技術
  2:ボールの固定技術
  3:滑らかであり、こぼれないインク製造技術
要するに、限りなく球に近いボールを作り、ボールの回転にあわせてインクを運び出すカシメ精度を持ち、ボールとペン先のわずかな隙間からも漏れ出さない適度な粘度を持つインクがなかなか作れなかったから・・・
wakuL2 と言うことです。 waku_R2
wakuC2
ボールペンの構造
 
 
○ 極小ボールはどうやって作られるの?
  ボールの材質にはいくつかの種類があります。
    ステンレス鋼 摩耗しやすい。けれど安い。
    超硬合金 名のとおり硬い。炭化タングステンが多い。
    セラミックス 摩耗が少なくインクのノリがいい。
    宝石 人造ルビーが代表。高級ボールペンに使用される。
       
  金属製のボールはこのように作られます
    線材を用意 ■材料■
不純物の少ない清浄度の高い材料を使用
     
    線材を切断 ■線材切断■
ボール1個を作る為に必要な長さに線材をカット
     
    球体成型 ■球体成型■
1対のダイスにより、球体に圧縮成型
バリが残る
     
    機械加工 ■加工■
圧力を加え回転させながら研削してバリを除去・・フラッシングという
熱処理・・焼入れ、焼戻しを行ってボールに十分な強度と耐久性を与える
圧力を加えて回転させながら研削し規定寸法の球に仕上げる・・グラインディングという
     
    ボール完成 ■ボール完成■
 
○ ボールペンは何故書く事ができるの?
 

ペン先を下に向けてボールを転がすと重力で押されていたインクはボールの回転に引っ張られて外に出てきます。
もし、重力だけでインクが出るのであればペン先を上に向けておかない限り常にインクは漏れ出すことになります。通常は適度な粘度をインクに与えて漏れを防いでいます。

  重力を利用している限り、重力に逆らって文字を書くことはできません。水平よりペン先を上に向けると徐々にかすれ始め、そのうち書けなくなります。
であれば重力の代わりに「何か」で押さえてやればいいわけで、インクの後ろ側に圧縮ガスを封じ込めておくことで重力のない宇宙空間でも使えるボールペンになります。
  ガス充填インクカートリッジ
 
○ ボールペンで書いた線はどれくらいもつ?
 

環境によりますよね・・・

  水性インクは汗や涙でかすれるだろうし、紫外線にはやっぱり弱いだろうし。
  直射日光に当たっていれば数ヶ月の命でしょう。長くても半年?
  一般に普及して60年くらい経っていますので、当初の記録が残っていれば60年は大丈夫だったと言えます。
昔の書物で墨で書かれた本は今でも読むことができますので、墨が成分のインクであれば100年単位でも消えないのかもしれません。
 
○ ボールペンの小話
 

ボールペンにまつわる有名な小話があります。
御存じの人も多いかも?

  アメリカとソビエト連邦(現在のロシア)が宇宙開発に凌ぎを削っていた1960年ごろ、クルーが宇宙船内でメモを取ろうとボールペンを取り出したところ無重力空間の為インクが飛び散ってメモが取れなかったそうです。
  そこでアメリカのクルーはこのことをNASAに報告しこの問題を解決する為有能な学者を集め数年の歳月と巨費を投じ無重力空間でも書けるボールペンを開発した。
  一方ソ連はというと 「あっそう。じゃあ鉛筆にすればいいじゃん。」 ごもっとも。
  この話を本気で信じた人もいるそうですがあくまでジョークです。
  本来の目的「書く」ことよりも「ボールペン」にこだわったアメリカ。
不可能をことごとく嫌うアメリカ。
  でもアメリカなら考えられなくも無いか。
 
○ まだインクはあるのに書けない!!
  こんな経験、したことがない方を探すほうが難しいかと思います。
ではこんな時どうするか
  新しいボールペンを購入する前に試してみて下さい。(ただし自己責任で)
 
  ・遠心力を利用   体温計の水銀を下げる時の要領でとにかく振ってみる。
      振る事でペン先にインクが集まり再び書ける様になるかも。
      ただしインクが飛び散って壁に新しい模様ができても許す寛大な気持ちも必要です。粘度の低い水性は要注意。
       
  ・吹く   中のカートリッジを取り出しペン先の反対側から吹く。
      これも肺活量と筋力次第では勢いよくインクが吹き飛ぶかも。
       
  ・ボールの掃除   破らないようにティッシュペーパーに書いてみる。
      ボール表面の固まったインクがティッシュペーパーのザラザラな紙面との摩擦によって取れるそうです。
      昔テレビ放送で紹介されていたらしい。
       
  ・温める   人肌で温める。
     
ペン先を指先で強くつまんで温めたり、両手で手のひらに挟んで
強く握るとか。 ボールペンはゆがかないで
もっと効率的かつ効果的にやろう!
ということで火であぶったり熱湯に浸ける方法もあるが、まず成功しない。
  どれもこれも一時的には復活するかもしれませんが・・・
 
 
  書けなくなる理由を探してみると  
    作りすぎて倉庫で製品寿命が来る(景品とか)  
    もともと製造技術が乏しい地域や業者が作った粗悪品  
    水平よりペン先が上にある状態で使いすぎ  
    ペン先を穴あけ用として使った  
    極寒、灼熱環境で使う  
    長期間使っていない  
  こうしてみると全部ヒトの影響ですよねエ  

 
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